遅番日記

何とな〜く、何気な〜く、日々のこと

絶え間無い闇を

全ては善意から始まった

悲しくならない為に生きているのに

哀しい事が沢山ある



前職が介護職だった事で

色々な方面から相談を受ける。

前職の時にお付き合いのあった人達からも

今の職場の人達からも

様々な相談を受ける。

答えを出す事は出来ないけど

ある程度の提案はさせてもらえる。


主な相談は

"両親の介護"

"認知症介護"

の2点。

2つが1つになっている事の方が多いか。


前職の時も沢山相談を受けたが

僕はなるべく

"決断"をつきつける

ような会話をする。


『家族も手伝ってくれているので』

『迷っている』

『今はなんとかなっている』

『まだ家族の手を借りてないから大丈夫だけど』


というような会話が多い。


相談される時に

上の四つの言葉が出てくると

大概はもう破綻している。

手遅れになる一歩手前のケース。


介護を仕事にしていた、

とういう事で最初は介助方法の相談が多かったけど

僕が管理者目線での提案をする為

"将来"についての相談がくるようになった。


今朝、会社の先輩からご両親の事で相談があった。

『夜中に寝ている所、ゴルフクラブで突かれる』

『ウチに何の様だ!盗るものは何もないぞ!』

『〇〇はまだ中学生だぞ!そんな嘘をつくな』

介護経験がある人達からすれば

お決まりのケース。

睡眠がとれないから休まらない、

身体を休める事も精神的に休まる事もできないので

色んな事に支障をきたしているが

『まだ嫁の手は借りてないから』

…その線引きは何なのか

周りの誰かに心配をされている時点で

既に危ない

そもそも僕に相談にきているって事は

少なからず本人的に悩んだからきたんでしょう。

危ないという自覚がない。


あくまでも優しく

でも言葉の端々をドライに

"必要な時ですよ"

と"決断"を入れていく。


施設に頼る、という事に

ほとんどの人達は後ろ向きになる。

いざ"頼ろう"という時は遅すぎる事が多い。


色々な事情はあるでしょう。

大きな所では金銭面

決して安くはない。

というより人生の中でかなり高額な部類に入ると思う。

カテゴリにもよるが

月々数万円を払っていかなければならない

言葉通り、その方の人生が終わるまで。

賃貸の家賃だったり、

持ち家のローンだったりを

ゆうに超えてくる金額になる。

その負担は計り知れない。


次に多い"事情"は

優しさ


『家に居るのが一番だと思う』

『出来れば自分達で見てあげたい』


この言葉が出た時、

僕ははっきりと伝える。

"それは、自己満足になってませんか?"と


怒られる事もある。

『失礼だ』と言われたこともある。

"それでも"

問わなければいられない。

"本当に本人が望んでいるでしょうか?"

考えてもらいたい

"自分なら"を

子供達が苦労している姿を見ていたいか

疲弊していく家族と共に過ごしたいか

その原因が自分にあるなら…


認知症は、

何もわからなくなる病気じゃないんです。


色んな機能は失われてしまうかもしれません。

記憶も曖昧になってしまうかもしれません。

でも感性は聡いです。

色んな事を察します。

自分の頭の中がどうなってしまったのかわからないから

周りをちゃんと観察して理解しようとしているから

聡いんです。

それでも記憶から抜け落ちてしまって

また混乱してしまう。

その繰り返しを、毎日毎日行なっている。


普通に生活が出来ている僕等から

想像ができるだろうか。

いや、難しい。

毎日が初めまして。

毎日知らない人と顔を合わせて

毎日知らない道を通って

毎日『さっき食べたでしょ』と言われる


どうだろう。

きっと僕なら自分から入院を希望する。

それは、今を普通に生きていけている僕だから。


認知症については、

何か別の機会に書けたらいいかなと思う。


会社の先輩には

きっと酷な話だったと思う。

そんなに切迫していないつもりで

相談をしてくれたのだろうけど

危機感は抱いてほしかった。


絶え間無い闇の中で

焚き火に木を焚べるような

灯りを消させない為の

"何か"を

僕は続けていきたい。


始まりと終わりが

優しくありますように。



※冒頭の言葉は大好きなアニメの一文を引用しています

※2 終幕の言葉は最近好きな曲の歌詞を引用しています